藍色の敷物をつくってみました
栄光カーペットの辻倫子です。
構想から3年をかけて藍色の絨毯や敷物を製品化したものの、これをいったい誰がどんな場面で使っていただけるのだろう、誰に共感してもらえるのだろうと日々考えています。
藍染めは徳島の本藍染めと呼ばれる(化学染料ではなく天然藍を使って時間をかけて染める伝統的な)手法です。
藍の色に深み、艶っぽさ、凛とした佇まいがあるように感じます。
藍染めの敷物をつくってみたいと思って研究するうち、
取り組みにご賛同いただいた徳島市内の藍染めの染色工場で染めていただくことができました。
その糸を使って当社の職人が敷物に織り上げ、風合いを活かせるよう絨毯や敷物の織り方を調整しました。
製品に仕上げる物語を記事に書いていただいた方がいます。ぜひお読みください。
http://soratoumi2.sblo.jp/article/186426017.html
藍の歴史を繙くと興味深いことがわかりました。それは古代エジプトのミイラに巻かれた麻布が藍染めであったというのです。また、魏志倭人伝には、倭国(日本)から青に染めた絹織物が王に献上されたとの記述があります。まずは染料としての美しさが魅力だったというわけです。
それだけでなく藍の持つ機能性も注目されています。抗菌性や防虫効果、消臭機能があることも知られています。古来から冷え性やあせも、肌荒れに効果があるとも伝えられ親しまれてきました。
徳島が藍染めの産地となったのは
吉野川の氾濫がもたらす肥沃な土があったからといわれています。
洪水対策として軒下に吊した小舟で脱出したり
屋根を切り放してノアの箱舟のように浮かべる壮大な仕掛けを持った民家も吉野川沿いに存在します。加えて京都や大阪に近い地理的要因も後押ししたのではないかと考えます。
ところが安価な化学染料が入ってくると、徳島の基幹産業でもあり全国有数の富をもたらした阿波藍が衰退していきます。
それでも令和の時代に入ってなお、藍の作付、藍染めの原料となるすくも、そして染め師、染色工場が集まっている産地は世界でも徳島ぐらいではないでしょうか。
その藍染めを絨毯に使ってみたいと思ってから数年が経過し、ここにようやく完成しました。
深みを持ちながらも明るさを併せ持つ藍の持つ妙なる色彩の美や肌触り、抗菌性などの機能をご自由にご活用くだされば幸いです。
地元徳島新聞にも取り上げられ、放送局などからも問い合わせがあるなかで、私たちも使命感と責任感、そしてわくわく感を持ってお電話をお待ちしているところです(どうぞ、お気軽に電話でお問い合わせください。打つのが遅いのでメールは苦手です、ごめんなさい)。
青空に浮かぶ雲を見ながら、藍で染めた敷物に寝っ転がる昼下がりは、かけがえのない時間になるかもしれません。そんな日が来るといいなと思っています。
(栄光カーペット株式会社 辻倫子)